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My Starting a business Blog その6 「NPS®️がきっかけ」ネットプロモーター経営

オープンしたものの、前クラブから移籍してくれた会員様は40名程。集客できない焦り

これまでのフィットネスクラブは、スタート時の集客が肝要でしたが、この2年で手掛けたスタジオ型クラブのオープン経験もあり、今まで通りのスタートを切れないことはわかっていました。また集客を急いだのですが、クラブが都心立地なので郊外立地とは違い、オープンチラシを撒いても反応なし。(チラシに関しては、この時すでにチラシの時代じゃないが、これまでの手法で反応がわかりやすかった過去の負の経験だと思う)たくさんの広告費をかけていた。しばらくしてから効いていたのは日経新聞へのプレリリース。問い合わせが来たのでこれは効いていたかもしれない。

チラシやWEBサイトの撮影のためにモデルさんへトレーニングフォーム指導

私達は、サービスを、目の前にいる方に提供する事に重きを置いて、クラブをどうするか考えるべきでした。しかし、サービスの質について意見を出し合って考え抜くようなMTGが少なかったのです、当初のスタッフ体制が万全ではなかったし、スタッフ意識の中でTAIKANZというクラブの存在理由も明確ではなかったのではないかと思います。クラブを「ブランド化」できていなかったし、クラブの「強み」が浸透していなかったと思われます。これは、最初はクラブMGではなかったのですが、ディレクターとしての私の責任でもありました。実際、私にも何を目指してどんなサービスでお客様が満足いくのかが見えていなかった、ただ単にトレーニングは価値があって、これまでスタジオ型でやってきていたCOREVITYというプログラムは効果が出る。そうだろう。というぼんやりした、考えだけだったのです。

そのうち、トレーナースタッフの離職も続きます。トレーナーはトレーナーを辞めるのではなく、他のフィットネスクラブに移って行ったのです。トレーニング自体は変わりのないもの。ここでしかできないトレーニングは無いのです。ましてや「TAIKANZ」トレーナの中には、「このクラブはどうやってお客様に効果を出すの?よくわからない」という思いだった者もいたと思います。トレーナーとして、直にお客様と成果効果を分かち合いたい。なので、自分がやるべきことがわかりやすい「パーソナルジム」とか、「フィットネスクラブ内でのパーソナルトレーナー」という、わかりやすい職務ができる環境へ移ってしまいます。

NHKおはようにっぽん生中継
電波車もビルの下に来る

NPS®︎(推奨者の正味比率:ネット・プロモーター・スコア)を実施する

【ネットプロモーター経営 THE ULTIMATE QUESTION 2.0 】「顧客ロイヤルティ指標NPSで「利益ある成長」を実現する

(著者ベイン・アンド・カンパニー フレッド・ライクヘルド+ロブマーキー) プレジデント社

私は多読で、(むしろ昔から本や雑誌を読まない日があると落ち着かない性格なんです・・・積読多いです)上記の本はこの時期の一冊の中でも、熟読してヒントを得ることができました。そして社内でも、幹部がこの本を読む事になり、代表がNPS®︎(推奨者の正味比率:ネット・プロモーター・スコア)を取るためにアンケートを実施する施策をしようと提案されました。当時NTTオンラインマーケティングソリューションズ(株)がこの調査サービスを展開しており、お願いする事になりました。

NPS®︎アンケートの究極の質問とは

企業や製品、サービスに対するアンケートは世の中にたくさんあるんですが、NPS®︎では究極の質問にたどり着きました。

「この会社を友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか」

を、アンケートで導き出すのもの。

そして、この質問を基に得られる指標が「推奨者の正味比率(NPS®︎)」です。社内で各店舗実施開始。お客様のメールにアンケートを配信しました。このアンケートはすごく質の良いもので、回答率も高く、コメントも丁寧に書いてもらえると言う性質のものでした。

結論から言うと、TAIKANZは自社の中で、一番推奨スコアが高かったのです。外注先の担当者からも「非常に高い点数(スコアー)を付けている」と言われました。私に大きい意義を感じさせたのはアンケートで頂いた皆様からのコメントでした。アンケートには点数記入だけではなく、その点数の理由やコメント記入もありましたので点数の整合性も取れていました。

究極の質問の「この会社を友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか」の背景にはロイヤルティを捧げるのに値するのかどうかです。ロイヤルティというのは価値観が込められた強力な概念で、通常、その対象となるのは家族や友人、国家でです。なので購入先の企業に対してロイヤルティを捧げている人であっても、その感覚をロイヤルティという言葉で表現しない可能性があります。

ロイヤルティを高める

「ロイヤルティ(loyalty)」は、「忠実」や「忠誠」といった意味の英単語です。企業やブランドへの愛着心という意味で使われます。

そこである企業から、製品やサービスを購入することを心底気にいっている人々が、最も自然に起こす行動、それは自分が大切に思う人にその企業(クラブ)を薦める事に他ならないのです。また、お客様は2つの条件が満たされないと個人的な推奨を行わないことも判明しています。

1、企業(クラブ)が優れた価値を提供しているとお客様が信じていなくてはならないのです。経済学者的にいうと、価格、特徴、品質、機能、使いやすさなどの実質的な要素です。

2、また、企業(クラブ)とリレーションシップに対してお客様が良い感情を持っていなくてはならないのです。これは、企業(クラブ)が自分を個人として認識し、理解し、尊重し、意見に耳を傾け、信条を分かち合っているという確信を、お客様が持てなければならないのです。

第一の条件はお客様の理性を惹きつけるものであり、第二の条件はお客様の感情に訴えかけるもの。です。この両者が満たされた時に初めて、そのクラブを友人に薦めるようになる。

ただ、アンケートのお客様の声の中では、「予約が取れなくなるから薦めない」「自分の場所、空間として気にいっているから薦めない」などのお声も多かったのです。こういうコメントは、その方がクラブでのトレーニングに真剣であるということが伺えて、嬉しいコメントでした。また、本の中に書いてあって、「なるほどな」と思ったのが、国民性でスコアが変わるということ。日本人、韓国人、オランダ人は人にあまり薦めない性格で、10点より5点に付ける人も多いのだとか。これは統計上のデータらしいのです。

私がこの施策のアンケートで、お客様から気づかせてもらった事は、汗を流して、ややきつめにやるTAIKANZプログラムに「きつくてもいい効果を感じている」こと、「一体感を感じている」こと、「自分のお気に入りの場所である」こと、「クラブコミュニティーがある」こと、でした。

また、「ここのクラブでしかできないトレーニング」との評価も多かったのです。トレーナーからすると、コアビティーのような、ファンクショナルトレーニングを、トレーニングメニューでやっているクラブは多くあって、どこでも変わらないのでは?と考えてしまいます。

ここで思い出したのは、以前アメリカ人のトレーナー講師に言われたことがありますが、「日本人はトレーニングに意味を持たせたがりすぎる。もっとクリエーティブになった方がいい」と。例えばケトルべるなんかのツールを持つと、日本人はすぐにどうやって使うか、というマニュアルを欲しがるのです。アメリカ人は持ってみて動きを考える。そして、「あー!これはこういう効果が得られる」と自分で作り出すのです。それを聞いた時、「そうだよなー!」と感心しました。話を戻すと、トレーニングプログラムだけではなくて、クラブ名、クラブ作り、トレーナーのプレゼンや動き、客層(ここを選んで入会されるお客様)、プログラムフローやツールの使い方、音楽、空間、これが単に、ファンクショナルトレーニングをやるジム。というだけではないクリエーティブされたブランディングされたジムができたのだと思いました。これらの気づきは、このNPS®︎調査で私が得られた気づきでした。

しかし、NPS®︎調査は終わることに

本来はNPS®︎はロイヤルティの高い推奨者になる顧客を作り、点数の低い批判者から意見を聞き出して批判者を減らしていくことの経営施策です。時間をかけて、じっくり取り組んでいくことなのですが、社内では点数の低いクラブも出てくるので、それをフィードバックとは捉えられず、クレームとして捉えてしまいモチベーションが下がるということで、終わってしまいました(本の中にもそうならないようにとの注意も記してありますが・・・)。もっと熟読し、実施に対しての共通認識を決めて、理解が深まった上で実施する必要があったかもしれません。

私は、これで多くの気づきを得る

NPS®︎というこの可視化できた数値と結果は今後のクラブ作りの立ち返りの、いわば巻物的存在になりました。これのおかげでTAIKANZは立ち位置(ポジション)を変えませんでした。トレーニングをするにしても今は多種多様な時代になってます。自分にあったやり方がありますが、それらを複数選択する時代でもあります。

例えば郊外に住んでいて、家の近くではプール・風呂付きの大きいスポーツクラブに入り。ランニングマシーンでテレビを見ながら走れる。仕事は都内に来ているので、週に1、2回は会社近くのTAIKANZや、暗闇サイクリングや格闘技スタイルのジムに通う。あるいはパーソナルジムに週1は通い、週末は山や海など自然の近くにあるヨガスタジオ。など、好きな人ならライフスタイルに合わせて、フィットネスを実施するかもしれません。私もフリーウエイトの揃ったチェーン展開のジム、地元の公民館の1回500円のジム、サーキットトレーニング形式のジム。などと通っていました。もちろんTAIKANZでもトレーニングしましたよ。

マッスルビーチトレーニング

であればこそです。TAIKANZのプログラム、コンセプトは変えずに存続していくことができました。よく気持ちが揺らぐのが体験の方の未入会者の方の感想です。「思ったよりキツかった・辛かった・しんどかった」「思っていたのと違うトレーニングでした」など。あとは数字に出る結果から社内で意見が出る時です。プログラムはやはりキツイのではないか、だから入会しないのではないか。スタッフもその意見に引っ張られていってしまい、議論することがよくありました。

NPS®︎はマーケットのニーズを知ることとは違います。ニーズに引っ張られていくとオリジナルティーが失われますので、NPS®︎推奨者の正味比率は落ちると思います。要するに、どこのクラブでも変わり映えしないようになるのですから。

操作するためにリモコンで機能を増やしてどんどん巨大化していく。それはニーズだったのか?
物理的になくせてしまえるか?無くして欲しいというニーズはあったのか?

やがて、クラブのコンセプト理解のあるトレーナーやスタッフがお客様を巻き込んで盛り上げて行ってくれました。メンバー様たちのロイヤルティが、かつてない高まりの中、、、

ハイキング&ビアガーデン
BBQバーベキュー

TAIKANZ閉館に。

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