結論から言うとクラブを「WHYから始める」ようにすることはできなかった。
フィットネスクラブのオープニングプロデュースを任されても、そこで学んだことを再現する場所にはできなかった。なぜなら、集客を急がなければならないからだ。
その当時、私が感化された本が「WHYから始めよ!」だった。その本を知ったのは、この当時COREVITYのグループトレーニングプログラムを遂行するためには、プレゼンテーション能力がないとダメだと考えていた私が「TED」をアプリで見て勉強していた時に、サイモン・シネックのTEDプレゼンテーションに出会い、知りました。
プレゼンテーション能力を上げるために、何冊にも及ぶプレゼンテーション術の本を読んだり「TED」のスピーカーを参考にしていた、そんな時に「プレゼンテーション術」の類と関係なく、「WHYから始めよ!」の著書サイモン・シネックのTEDプレゼンテーションに出会い、内容をもっと知りたくて本を購入しました。
■人を感激させてやる気を起こさせなければならない
人を操作するのではなく、人を感激させてやる気を起こさせる、つまりインスパイアできるリーダーは少ない。それが個人であれ組織であれ、人をインスパイアするリーダーはまったく同じ方法で行動し、コミュニケーションをとっている。その方法は、私たちがとっている方法とはまったくの逆といえる。意識していようがいまいが、かれらは、私が〈ゴールデン・サークル〉と命名した自然に起こるパターンに従っている。
出典:「WHYから始めよ!」著者サイモン・シネック 訳者栗木さつき 日本経済新聞出版社
■WHYから始めなければ!
TEDを見たことがある方はご存知だと思いますが、サイモン・シネックさんが〈ゴールデン・サークル〉をプレゼンテーション用のポスターに手書きで書きながら説明している。この本はTEDの内容をもっと詳しく書き記してあるわけですが、私がプログラムや商品を企画する時、提供する時私が取っていた行動は、ここで言う(〈ゴールデン・サークル〉で言う)「WHAT」でしかないと気づいたのでした。「COREVITY」と言うトレーニングプログラムに関しては「HOW」ぐらいまで少しかすっていたかもしれませんが、クラブ全体を見ると「WHY」はない。
WHAT
企業や組織は、自分のWHAT(していること)がわかっている。大企業であろうが中小企業であろうが、どんな産業であろうが、誰もがわかっている。自社が扱っている製品やサービスのことなら誰だってすらすらと説明できるし、会社や組織の中で自分がどんな職務についているかも簡潔に説明できるはずだ。このようにWHATは明確に説明できる。
HOW
自分がしていいることのHOW(手法)を知っている人や企業も、なかにはある。「価値観に差異を持たせる」、「独自の工程」、「ユニークな販売計画」など、よそとは違う方法、よりよい方法をとるのだ。これをHOWと呼ぶ。HOWはたいてい、WHATほど明確ではない。ひとつの決断をくだすうえで、よそと差異化をはかり、人にやる気を起こさせるのはHOWのはずだと考える人は多いだろう。だが、HOWさえわかっていればそれでいいと考えるのは間違っている。ひとつ、見逃している点があるのだ。
WHY
自分が今していることを、しているWHY(理由)。これを明言できる企業は少ない。ここで留意してほしいのは、このWHYには「お金を稼ぐため」と言う理由は含まれない。それは結果にすぎない。私がWHYと問うとき、それは、あなたの目的はなんですか、大義や理念はなんですかと尋ねているのだ。なぜ、あなたの会社は存在しているのか?なぜあなたは毎朝、ベットから這い出し、出勤しているのか?なぜ、そんなことを気にかけねばならないのか?
大半の組織や人間が、円の外側から内側に向かう順番で、つまりWHATからWHYの順番で考え、行動し、コミュニケーションをはかっている。もっともな話だ。いちばん明確なものから始め、いちばん不明瞭なものに向かっているからだ。私たちは、自分のWHAT(していること)は説明できる。ときにはHOW(手法)も説明できる。ところが、そうしているWHY(理由)を、説明することはめったにない。
ところが、傑出した企業は違う。傑出したリーダーも違う。かれらは、内側から外側へと向かう順に考え、行動し、コミュニケーションをはかっている。
出典:「WHYから始めよ!」P46 著者サイモン・シネック 訳者栗木さつき 日本経済新聞出版社
■現実 > 理想 という式が経営なのか?WHYは理解されず
頭の中で私1人が理解することができても「WHY」をスタッフやチーム全員に理解させることが難しかった。今でもまだ解決できていないが、この考え方は「だといいよね」という「理想」だと思われてしまいます。じゃあ現実は何?それは毎日の業績だ。理想を掲げていても単月で会員数が伸びたり売り上げが上がるわけではなかった。毎日、毎月の業績。これに縛られる。業績を上げながら理想に近づいて行けることなんてあるのだろうか。うまく導けなかったマネージャーとしての責任なのか、どうすることもできないものなのか。立場としては、経営者とスタッフの間に挟まれていたポジションでしたが、私が再現することはできず、頭の中だけであれこれ考えている毎日でした。
そんな時、次に来た機会というのが新宿御苑にあるスポーツクラブの居抜き物件で新店を作るという話が出てくる。